Stacking重ねられる
美しく積み重ねられるデザイン
空間に置かれる家具は、使用中の姿だけでなく、使われていないときの佇まいもまた、空間の印象を左右します。特に業務用家具において重要視される「スタッキング」は、機能性だけでなく、美しさも設計の一部であるべきだと私たちは考えます。本コラムでは、曲木の技術を活かした木製チェア「ピーラー」を取り上げ、スタッキング時の美しさにまで配慮したデザインのこだわりについてご紹介します。
使わない時間を、空間価値に変える
家具は使われるために存在しますが、業務用空間では実際には使われていない時間が長いことも珍しくありません。その間も家具は空間の一部として静かに佇み、空間の印象に影響を与えています。私たちは、その“使われていない時間”の価値にも注目したいと考えました。ピーラーは、使われていない時でさえも空間に調和し、美しく佇むことを目指した木製スタッキングチェアです。曲木のしなやかなラインが積み重なることで生まれる秩序あるフォルムは、使う人だけでなく設計者の感性にも響くデザインです。使わない時間までも丁寧に考えられた家具が、空間づくりの新たな視点やヒントになるのではないかと考えています。
商業空間や公共施設など、人が行きかう場所では、家具はいつもだれかの目に触れているものです。使われていないときでさえ、空間に溶け込みながら、その場の印象や雰囲気に影響を与えています。だからこそ、美しい佇まいを持つ家具は、空間全体の完成度をぐっと引き上げ、訪れた人に心地よさや上質さを感じさせてくれるのです。
細部に宿る機能美のかたち
ピーラーはシンプルながら、細部に宿る機能美が魅力のチェアです。名前の由来のように、オーク材の丸棒を一面削り出した部材を使い、耐久性と独特の表情を両立。背からショートアームに続く曲木は、滑らかな曲面で背あたりを良くし、肘を支える程よいサイズのアームが快適な座り心地を実現しています。さらに、脚の角度や寸法は緻密に計算されており、スタッキング時には美しい秩序あるフォルムをつくり出します。使いやすさと見た目の美しさを兼ね備え、多様な空間に調和する機能美の象徴として設計された一脚です。